「布団がずぶ濡れになる」という不可解な現象をお祓いした時の話
「布団がずぶ濡れになる」という不思議
4〜5年前の話ですが、お寺の仕事で外回りをしている時に、
急遽携帯に仕事依頼が入りました。
依頼内容は、「お祓いをしてもらいたい」ということだったのですが、
詳細を尋ねれば、
「夜、布団で寝つき、朝起きると敷布団がありえないくらい”ずぶ濡れ”になって困っている」とのことでした。
それが、ほぼ毎日のように続いていると。
自寺を介して聴いたことですので、
詳しくは現地で尋ねてみないとわからないといった状況でした。
はて?なんだろう。
ただの寝汗ではないのか?
なぜお祓いになるのか?
と疑問に感じたのですが、
ひとまずは、
依頼者のアパートに向かいました。
あ、申し遅れました。
普段は僧侶をしております、管理人の空心です。
原因は一体なにか?
近くまで来ていたので、
依頼者のアパートまでは車で10分ほどで到着しました。
5階建てのアパートで築40〜50年ぐらい経過しているようで、
正直なところ、あまり整備されていないように見えました。
胡散臭いなと思いつつ、
エレベータもないため階段をとぼとぼ上がっていきました。
階段もホコリボコボコでした。
どんだけ掃除してないんだというくらい。
おそらく誰も管理という管理をしてない雰囲気でした。
ふ〜ふ〜肩で息をしながら、
5階にある依頼者の家に辿り着きました。
依頼者は30代後半ぐらいの男性で、
お兄さんと2人住まい。
弟さんの方がその「敷布団ずぶ濡れ」の当事者なのですが、
ここに住み始めて約一ヶ月になるそうで、
程なくしてその状況が始まったとのこと。
詳しく尋ねると、どうやら寝汗のレベルではないようでした。
朝起きると、バケツの水をこぼしたほど布団がビショビショになると言うんです。
それが半月くらい毎日続いていると。
布団を干すのも大変で、替え布団がとても追いつかないと。そりゃそうですよね。
これ普通じゃないなと思いつつ、
「普段は霊が見えたりはしますか?」と尋ねるが、
全くないとのこと。
夢でも心当たりはなく、元々そんな身体的病気もないと。
私自身も霊感があるわけではありませんのでよくわかりませんでしたが、
「水死した霊」でも憑いているんだろうかと勝手に分析しつつ、
急急とご祈祷の準備を始めました。
部屋には仏壇がないとのことでしたので、
家具で代用して簡易祭壇を準備。
事前に用意いただいていた「酒、塩、米」を供え、
持参していた焼香器に線香を立てる。
ある程度原因がわかれば、それ相当のお経をあげれたのですが、
今回はよくわからないため、汎用的なご祈祷のお経を読誦しながら、
部屋全体をお清めしていきました。
潰された井戸
40分ほどお清めしていたのですが、
終えた後も「果たしてこれで良かったのか?」と、幾分モヤモヤが拭い去れないままでいました。
祭壇を片付け終わり、出していただいたお茶で一服していたところ、
弟さんがふと思い出したようにこんなことを言い始めました。
「実はここのアパートの駐車場に井戸があったんですよ。」
ん?と思って詳しく尋ねると、
「数年前に駐車場にするために井戸を潰したので今はありませんが、その井戸の跡だけは残ってるんですよね」
私はそれでやっとピンときました。
水神様。
井戸は、地球を生命体として考えれば、呼吸をするところでもあります。
風水でいうところの「龍脈」がそれに相当するでしょうか。
ですので、井戸を塞ぐときは、井戸に竹を挿して「息抜き」をするなど儀式が必要なのです。
事実、井戸封鎖のための回向文が用意されているぐらいに大事なことは知っていました。
念のため、「儀式はされたんでしょうかね?」と尋ねましたが、
おそらくはしてないと思う、という返事。
私は、再度お清めの酒・塩・米を用意いただいて、
その井戸の跡に案内していただきました。
建物の横に併設する駐車場は、
砂で埋められただけの広場でした。
現場に行くと、広場の真ん中あたりに、井戸の輪郭だけが地面上にうっすら見えていました。
勿論、井戸の穴は砂で塞がれた状態です。
本来用意すべきである竹もないし、どちらにしても竹を挿せる状態ではないため、お酒・塩・米で井戸の付近を清めつつ、お経を読誦し直しました。
こういう時のお経の心構えとしては、
謙虚になりすぎるわけでもなく、幾分強気の姿勢であげます。
かと言って、奢るわけでもありません。
あらゆる縁が重なって(計らいで)、今ここでお清めをしている事実がある。そこに下手な私的感情を持ち出す必要はない。
そんなフラットな気持ちになってお経を読誦します。
ひとしきり、お清めした後、
依頼者には、症状が治らないようでしたらまたお電話ください、とお伝えし、私は帰路につきました。
あれから特に電話はありませんでしたので、
その後の展開までは定かではありません。
ご無事でいたら何よりですが。
終わりに
この度の依頼者の症状は、
井戸の水のエネルギーの滞りが、(おそらく霊感の強いであろう)依頼者の身体を通して現れたように思います。
さらに一連の出来事を回想すれば、
部屋でのお清め後に、弟さんが突如思い出したように井戸の話をされたことは、水神様が依頼者を通じて言わせたのだな、と感じています。
世の中には不思議なことがあるものです。
水神様という擬人的?(人じゃないけど)な表現に抵抗がある方は、
「水のエネルギー体」という捉え方でもいいように思います。
医者が薬を処方し、血流改善を試みるように、
見えないエネルギーの滞りをなくすためにお清めをするのが
僧侶として一つの役目であると思います。
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