「慈経」を読む

空心 です。

『スッタニパータ』という仏教の古い経集があるのですが、
その中に収録されている「慈経(じきょう)」という経があります。

慈経では、生きとし生きるものに対して、いかなる態度でいるべきか、という
人間関係の指針が説いてあります。

非常にきれいなお経ですので、
以下、ご紹介させていただきます。
(引用は、「仏教の思想 1 知恵と慈悲<ブッダ>」から)

 

よく教えの道理を会得したるものが

自由の境地をえてのちに為すべきことはこれなり

有能、率直、そして端正なること

よき言葉を語り、柔和にして、高慢ならざること

 

足ることを知りて、養い易きこと

雑事にかかわらず、簡素に生きること

五根を清らかにして、聡明、謙譲なること

檀越(檀家)の家におもむいて貪りなきこと

 

卑賤のわざをなして識者の批難をうくることなかれ

ただ、かかる慈しみをのみ修すべし

生きとし生けるものの上に

幸いあれ、平和あれ、安楽あれ

 

目に見えるものも、また見えざるものも

遠くにあるものも、また近きものも

すでに煩悩尽くるものも、また尽きざるものも

生きとし生けるもののうえに幸いあれ

 

あたかも、母性がそのひとり子を

おのが命に代えてまもるがごとく

生きとし生けるものの上に

限りなき慈しみの思いをそそげ

 

また一切の世間にたいして

かぎりなき慈しみの思いをそそげ

上にも、下にも、また四方にも

うらみなく敵意なく、ただ慈しみをのみそそげ

 

— 仏教の思想 1 知恵と慈悲<ブッダ> P203

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