約一年半前ぐらいでしょうか、
当時私は深い虚無感に包まれていた。

それまで4〜5年ほど哲学書やスピリチュアル系の本を貪るように読みあさっていた。
生きる意味、存在理由などを必死で探していた。

きっかけは霊的な体験に遭遇したことが始まりなのだが、
ここでは体験内容に関しては割愛させていただく。

「意味を問うこと自体に意味がない」ことに気づき、
本を読むことも一様の区切りがつき始めていた。

ただ、今後何を求めていけばよいかわからなくなっていた。
完全に心が空っぽ、風穴を開けられたような感覚だけが残っていた。

丁度その頃、「いまここ塾」の阿部敏郎氏の存在を知り、
講演会に参加させていただく機会があった。
阿部氏の説く、「いまここ」にすべてが内包されている、という思想に
なんとなく興味が湧いたからだ。

講演が終わってから、すぐに阿部氏の元へ向かった。
私の心の現状を聴いていただきたかったからだ。

数人並んでいたが、すぐに私の順番が廻ってきた。

私は阿部氏に半ばすがるように尋ねた。

「阿部さん、数年の間 本を読みあさって、もはや”言葉”ではないなと気づきました。しかし今は、虚無感しかない状態になってしまっています。果たしてこの状態から打開できるんでしょうか?」

すると阿部氏はすぐに理解されたようで、
このように返答されました。

「あなたはね、後退しているんじゃなくて、前進しています」

私には意外な言葉でした。

現状を振り返ってもマイナス要素しかない気がしていた。
しかし、それでも前進しているとおっしゃるのだ。

正直、私はこの一言でかなり救われた。
真っ暗闇の中から光明が見えた気がした。

それから時が過ぎ、現状の私はどうなのか?

虚無感が嘘のようになくなっている。

これは本心からそう言っている。

追い求める必要がないと気づいた。
すべてはいまが完璧であると気づいた。

おそらくは阿部氏も同様のステップを踏んだ経験がおありだったのだと思う。

だから、私は言いたい。

あらゆる経験に無駄なものはない。
どんな時も起こることが、ただただ起こってくる。
究極的には善悪というものはなく、
ただ観念(解釈)があるだけだと。

人生に絶望している人間もいるであろう。
私も当時そうだった。

しかし、今では価値観が180度変わった。
あれほど頭でっかちだった人間がである。

かならず、気づく時がくる。

気づかない時でさえ、気づかないままが、
現状その人にとって最適であるのかもしれない。

だからすべては、大いなる存在の計らいに委ねるしかない。
これは理屈ではない。

全くのおまかせである。

勿論、考えるべき時は考えるが、
心の本質の方では揺るぎない安心感があるのだ。

いまではそのように言い切れる自分がいるのが不思議なのだが、
迷いが無くなるとはこんなことをいうのだろう。

どんなときも「間違い」ということはありえないのだ。
宇宙の理とはまさにそうなのだ。

 

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